2023年11月10日(金)15時〜17時(日本時間)実施 |
― 「〜は」、「〜た」などの形式をめぐって「話し手の言語」としての日本語 ―
感情形容詞が「太郎はさびしい。」のように三人称には使用できないことなどにも示されているように
日本語は「話し手の言語、立場志向」といわれている。「(「旅行行ったんだってね、」)うん、奈良の
大仏は大きかったよ。」の「大きかった。」も、話し手の自分の経験した事柄に対する気持ち・反応の現れ
であって、発話時点でも大きいことに変わりはない大仏の属性の描写のみに収まりきらない。
このことは小説の語り手の位置の問題にも関係し、川端康成の「雪国」の冒頭の「国境の長いトンネル
を抜けると雪国であった。」も英訳などでは客観的な描写になってしまうが、日本語ではあきらかに「汽車
の中にいてそれを経験した人になりきっている語り手の声」である。
本セミナーでは以上のような問題点に関してこれまで指摘されていることがらのいくつかを整理、紹介して
いく。
そして以前扱った「機械翻訳」や「役割語」も含め翻訳においての問題点を考える。
●セミナー目次
1.はじめに
2.事実志向と立場志向
3.言語形式と語り手
4.「た」をめぐって:古語「き、けり」「つ、ぬ、たり、り」の意味用法から現代語「た」へ
5.「は」をめぐって:主題を提示する語り手の問題
6.翻訳における「話し手の立場」の扱い
このセミナーはオンラインにてご参加いただけます。オンラインはズーム(ZOOM)というインターネット会議
システムを使いますので、自宅からでも双方向のコミュニケーションが可能です(Skypeをご存知の方は
同じようなツールとお考えください。)。PCとインターネットの環境があれば準備はとても簡単です。
参加申込の方に「ZOOM」の利用方法をやさしく解説したマニュアルをお送りしますのでご安心ください。
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![]() ・上智大学外国語学部ロシア語学科卒業、 |
【講師自己紹介】 江戸っ子3代目です。生まれ育ちは東京タワーのすぐ近くです。 中高は物理部で「読み取り誤差」や「硬球の衝突」の研究をしていました。理系のコースでしたが、ことばに 興味があり(中高で独・仏語を第二外国語、西語をNHKラジオ講座で自習)、大学ではロシア語学科に進み ました。 大学院は言語学科で、ロシア語の意味論をやりながら実験中心の音声学の研究室に入り浸り、10年くらい日本 各地の方言の音声調査に参加しました。これが音声とかかわるきっかけでした。 大学院終了後、非常勤講師をしながら、出版社の準社員としてロシア語や英和・英英などの辞書の編集、 和英辞典の日本語のアクセント付けなどの仕事に携わっていました。情報処理振興事業協会のコンピュータ用 日本語辞書のプロジェクトにも参加しました。 昭和63年度の日本語教育能力検定に受かって、大学で4年ほど日本語を教えていました。 現在は大学等で、ロシア語、音声学、音韻論、語彙、日本語文章表現、文学等を講義しています。平行して 日本語教師の養成の仕事もしています。 大学院卒業以降今まで(東京タワーと同い年です)正式に勤めたことはなく、元祖フリーターを名乗ろうかと 思っています。 趣味は読書とそれ伴う古書収集、音楽鑑賞とそれに伴う楽譜(特に自筆譜のファクシミリ版)の収集、 オーディオなどです。クラヴィコードを手に入れて弾き初めています。 スポーツは登山、水泳、スキーをやっていました。最近はあまりやれていませんが、ライフル射撃(空気銃) も少々たしなみます。家には猫(コーニッシュレックス)が8匹います。 ◆以前のセミナー内容をご参照ください。(*セミナータイトルをクリックしてください。) 「言語学的地域研究」セミナー 「翻訳者に役立つ『やさしい日本語』」セミナー 「機械翻訳に適した日本語表現」セミナー 「翻訳における武器としての役割語とくびきとしての役割語の解説」セミナー |
●セミナー日程: 2023年11月10日(金)15時〜17時(日本時間) <途中10分ほどの休憩が入る場合がございます> ●申込締切 : 2023年11月7日(火)(日本時間) ●参加形式:ZOOM(オンライン) *定員25名に達し次第締め切ります。 ●受講料は以下の表をご覧下さい。 |
一般 |
JTAメンバーズ 及び 学生 |
---|---|
2,100円 | 1,600円 |
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