翻訳ソフト徹底活用

第1回 PC-Transerの「開く」メニューについて

 最近の翻訳ソフトは、斜め読みを中心とする一般ユーザ向けと訳文作成支援を中心とする翻訳者向けの製品に大別できます。現在では、一般ユーザ向けの翻訳ソフトに関する情報は雑誌などに掲載されることが多くなりましたが、翻訳者にとって便利な機能がどのようなものか解説しているものは少ないようです。

 この連載では、翻訳者向けの製品を取り上げ、搭載されている数多くの付加機能をどのように活用していけばいいのかできるだけ具体的に説明してみたい思います。そのため訳文の品質についてはあまり触れません。翻訳ソフトの訳文サンプルをご覧になりたければ、Green and WhiteのWEBサイト(http://homepage2.nifty.com/oto3/)にアクセスすることをお薦めします。
バベルMT研究会
小室誠一

 翻訳ソフトを利用するためには、電子化された原文を読み込まなくてはなりません。基本的にテキスト形式のファイルが対象となります。しかし、実際の翻訳作業の現場ではその他のファイル形式も多く見られます。

 従来、テキスト形式以外のファイルを翻訳ソフトの対訳エディタに読み込む場合は、それぞれのアプリケーションで表示しておいて「選択」→「コピー・アンド・ペースト」していました。これは数が多くなるとかなりの手間になります。また、図形モードで「テキスト・ボックス」の中に文章が入力されている場合、一つ一つコピーしていかなくてはなりません。

 PC-Transer V9では、MS-Wordとpdfファイルを「開く」ことができます。もちろん、それぞれのファイルからテキストのみ抜き出して読み込むわけですが、アプリケーションを開いてコピー・アンド・ペーストするよりはずっと効率的です。MS-Wordのテキスト・ボックス内のテキストも一括で読み込んでくれます。

●PDFファイルを開く

 試しにPDFファイルを開いてみましょう。メニューバーの「ファイル」をクリックしさらに「開く」をクリックします。(図1)

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 「開く」ウインドウが表示されたら「ファイルの種類」を「PDFファイル(*.pdf)」にします。ファイルを選択して「開く」ボタンをクリックします。(図2)

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 対訳エディタの原文側(左側)にテキストが読み込まれました。(図3)

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 原文をテキスト形式で保存してみます。「開く」メニューから「テキスト出力」をクリックします。(図4)

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 原文をテキスト形式で保存するには「テキスト出力」画面で、ファイルの種類を「テキストファイル」に、用途を「原文ファイル」に設定します。(図5)

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 保存したファイルをWZエディタで開いたところ、センテンスの途中に強制改行が入っていました。簡易コーパスなど他の用途に使い回す際に問題が生じるので、センテンスの途中で改行しないようにしたいと思います。テキスト・エディタなどの検索・置換機能を使ってもいいのですが、PC-Transerで簡単にできてしまいます。(図6)

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 「テキスト出力」する際にいきなり「原文ファイル」にせずに、一旦「テキスト出力」、用途「対訳ファイル」で保存します。(図7)

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 そのファイルを再度PC-Transerで開き、「テキスト出力」、用途「原文ファイル」で保存します。(図8)

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 WZエディタで開くと余分な改行がみごとに取れています。(図9)

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 このような機能は一見取るに足らないように思えるかもしれませんが、短時間に大量の翻訳を処理しなければならない場合には極めて重要になります。裏を返せば「翻訳ソフト」を活用するためには付加機能を十分理解する必要があるのです。


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