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翻訳協会翻訳力審査小史

当時の告知から雑誌『翻訳の世界』<翻訳力認定の歴史−「翻訳技能審査」1988年〜2003年>


社団法人 日本翻訳協会は、1986年の設立以来、翻訳者の育成・発掘そして、翻訳力の品質向上とその維持を指針としてきました。
その一環として1988年には、当時の所轄官庁・労働省の認可のもと翻訳技能審査を開始しました。
1988年 自然科学部門、1989年 社会科学部門、1994年には、人文科学部門と3部門の「翻訳技能審査」を行いました。
東京、大阪、名古屋、仙台,札幌の全国主要都市を会場に行われ、翻訳の文種、英文法、専門用語、編集(校正)の知識を問う内容の知識試験と、英日翻訳、日英翻訳、要約、リライトと、翻訳関連の技能を問う内容の技能試験とにより審査するものでした。
認定内容は以下の通りです。

認定級 認定内容
1級トランスレーター 10年以上の翻訳実務経験をもつもの、またはそれに相当する技能を持つもの。
2級トランスレーター 5年以上の翻訳実務経験をもつもの、またはそれに相当する技能を持つもの。
3級トランスレーター 3年以上の翻訳実務経験をもつもの、またはそれに相当する技能を持つもの。
4級トランスレーター 1年以上の翻訳実務経験をもつもの、またはそれに相当する技能を持つもの。

1988年といえば、長期好景気の真っ只中、日本がその経済力をベースに世界に目を向け、進出を図り、実業界における翻訳需要が急増し、質のよい翻訳者が求められている時代であり、翻訳者の能力を何年間の実務経験に相当するかを認定するというその画期的な検定は、受験者ならびに、優秀な翻訳者を必要とする実業界からも高い評価を受けました。
多くの受験者、資格認定者は、今も各業界で活躍中です。
 

<翻訳力認定の歴史−「翻訳基礎能力検定」1989年〜2003年>

「翻訳技能審査」は、労働省認定の公的資格であり、上記の通り「実務経験」を認定する高度なレベルの資格でした。一方、そのころから若い人たちの「翻訳者」の志向がさらに高まり、「翻訳技能審査」の認定にいたる道を示す基本的な翻訳能力の審査を希望する人たちが増加し、その方々の希望に対し、翌年に「翻訳基礎能力検定」がスタートしました。この試験は社団法人日本翻訳協会が独自に行ったもので、広く翻訳に関心のある人を対象に、基礎的な翻訳力を判定するもので、かつ1996年には、その新設が求められていた中国語部門の「翻訳基礎能力検定」を開始しました。

<翻訳力認定の歴史−「翻訳技能認定」2003年〜2008年>

「翻訳力」は、固定的なものでなく常に時代の要求、実業界の要望に対応するものです。ですからその審査の内容などを時代に即してバージョンアップしていく必要があります。
一方、2003年、行政における規制緩和の動きに応じた公的資格試験への民間委譲への流れに応じ、「翻訳技能審査」と「翻訳基礎能力検定」を統合し、社団法人日本翻訳協会が独自で実施する「翻訳技能認定試験」をスタートさせました。翻訳者としての基礎能力と共に専門性を評価する試験となったのです。
・ 対象言語は、英語、中国語の2ヶ国語で、受験者は自分の専門分野を下記の4部門から選び受験します。

選択部門  
A部門 文化、芸術、スポーツ
B部門 法律、政治、経済
C部門 工学、化学、科学
D部門 医学、薬学、バイオ
・ 試験内容は (1) 共通知識問題: 英文法、構文、パラグラフ、文体等の知識を問う
         (2) 部門別技能試験問題:上記4部門の中から1部門を選択。専門性をさらに求める
            内容となっています。
・ 認定の基準は以下の通りです。
認定級 合格ライン 認定レベル
共通知識問題 部門別技能試験
1級トランスレーター 60点以上 90点以上 プロとして6年以上の経験を有すると判定できるレベル
2級トランスレーター 同上 80点以上 3年以上の経験相当とされるレベル
3級トランスレーター 同上 65点以上 1年以上の経験相当とされるレベル
4級トランスレーター 同上 50点以上 1年以上の経験相当とされるレベル
基礎級合格者 同上 50点未満 翻訳者としての基本的素地をもっているとみなされるレベル

(注) 共通知識問題で60点未満の場合は級外とし、採点および認定の対象外とする。

・ 2003年からスタートした「翻訳技能認定」は、まさに時代の要請に沿って受験者が選択すべき専門分野が「翻訳技能審査」の3ジャンルから4ジャンルに増えました。対象言語を本格的に英語・中国語の2言語としました。

 
<翻訳力認定の歴史−「JTA公認翻訳専門職資格試験」2008年〜>

 
〜インターネットが。翻訳者を変え、翻訳実務を変えた〜
・ しかし、翻訳実務を取り巻く状況はさらに大きな変化の波に飲み込まれます。インターネットの普及により翻訳業が激変しました。インターネットを翻訳者は取り入れざるをえなかったこの。
このインターネットにより翻訳実務の世界には、大きな前進が見られました。まずは大幅な時間生産性の向上です。
(1)クライアントと翻訳会社、翻訳会社と翻訳者のやり取りのほとんどすべてが、インターネット、特にeメールによって行われるようになった。
(2)翻訳者の作業時間の多くを占めていた「サーチ・調べもの」がインターネット検索により大幅に短縮された。
(3)東京近郊の翻訳者中心の必要がまったくなり、日本の夜間に当たる時間には、地球の裏側に住む翻訳者に発注することが容易にできるようになった。
(4)本来翻訳者は、翻訳のみが仕事であったのですが、PCを駆使することにより編集作業などが同時に出来るようになり、製品の納期を短縮させるとともに、翻訳者の受注額の向上にもつながりました。

このような大幅な変化の中では、翻訳者の能力は、専門的な翻訳力の上にITの知識や操作能力、そして翻訳実務に伴う法の遵守や自らを翻訳者として世の中にPRする知識などが同時に問われる時代となったのです。
また、翻訳者の地位的向上のためには、その資格を国をはじめとする公的団体が認定する必要があるという認識に立ち、社団法人日本翻訳協会は、2008年12月に、第1回JTA公認翻訳専門職資格試験を実施しました。

JTA公認翻訳専門職資格試験の詳細は、こちらをご覧ください。


<「翻訳技能審査」「翻訳基礎能力検定」「翻訳技能認定」についての質問>
上記試験の資格取得証明書再発行などのご質問は、こちらからお願いします。

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