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 2008年9月に起きたリ−マンショックは、昨年来の米国のサブプライムローンの破綻に始まった金融不安を、とうとう世界の金融システムの崩壊へと加速させつつあります。
さらに、金融システムばかりでなく、実体経済までもが大きな影響を受け始めています。まだ国境は存在し、多言語、多文化の花を咲かせつつも、グローバリゼーションによって、世界は緊密に繋がり、ひとつのビジネス世界、ひとつのマーケットとなっていることが明確になっており、世界各国の首脳は共同してことに当たっています。
 しかし最早、経済成長を基盤としてこれを支えてきたビジネス、金融システムはすでに崩壊し、新たなサステイナブル(持続可能)な社会の枠組みを構築することへ向けて、これまでの発展のパラダイムを大きく転換させる時代となりました。そこでは、世界の技術、科学知識、社会システム、宗教、学術、教育、環境、食料、医療、金融、資源、情報、人口などの偏りをなくし、流通させ、世界的な発展とその恩恵のバランスをとることが求められています。これは、世界マーケットのビジネス流通システムでありますが、同時に、世界に存在する多言語の壁、多文化の壁を乗り越えていく試みでもあります。
 このような世界の状況に鑑み、社団法人日本翻訳協会は、2007年10月協会設立21周年を迎えるに当たり、記念事業として、翻訳振興活動を大きく転換、進化させることを決定しました。'翻訳者'を"プロフェッショナルトランスレーター"すなわち、「翻訳専門職」と考え、その役割を明確に位置づけ、世界に向けて公開、推進することと致しました。 そこで、この「翻訳専門職」を育成支援するために、2007年12月「翻訳修士学位取得のための奨学金制度」を設け、既に6名の方々に授与しております。協会事業の大きな進化、転換がスタートしたのです。
 ご承知のように、現代の多言語、多文化の壁を乗り越えようとするとき、異文化、言語交流としてのコミュニケーションを担うのが"プロフェッショナルトランスレーター" すなわち、「翻訳専門職」の役割であると言えます。そこで、これまで実施してきた"翻訳技能認定試験"を、 2008年6月の実施を最後に終了させ、2008年8月全く新しいインターネットによる「翻訳専門職資格試験」として改定することを決定し、発表いたしました。
 現在、第1回の試験12月7日の実施に向け、大学、大学院、翻訳会社、人材派遣会社、翻訳出版社、翻訳ソフトメーカー、ローカライズソフトメーカー、企業、法律事務所、翻訳者などの多方面の方々のご協力、ご支援を得て開発、準備を進めております。
 本格的なインターネットによる、公的な資格試験は日本では初めてであり、従来の"翻訳技能審査"の権威と品質をさらに高め、日本ばかりでなく、世界の"翻訳資格試験"として、産業界はもとより、社会に広く認知される「公認翻訳専門職の資格試験」として成長させたいと考えております。
 この、翻訳専門職の能力要件を5つのコンピタンシーとして定義しております。
 それは、Language Competence(言語変換能力)、Cultural Competence(異文化理解力)、Expertise Competence(専門実務翻訳能力)、IT Competence(IT運用能力)、Managerial Competence(マネジメント能力)です。認定要件としては、これに加えて2年間以上の翻訳実務経験を必須としています。今後は、世界の翻訳専門職大学院とも連携し、翻訳産業界の品質向上に寄与するため、翻訳修士学位を持つ翻訳者を増加させると共に、この翻訳専門職の資格者である、「JTA 公認翻訳専門職」を持つことを翻訳者の職業能力必須要件として世界に広めたいと考えております。
 さらに、今後は、翻訳者のマーケティングや、品質の向上に寄与するため、翻訳者のための翻訳出版の奨励を行い、実務翻訳者も出版翻訳家として、自己の専門図書の翻訳書を持ち、翻訳能力を常に向上させていく機会が得られるよう支援して参ります。
また、大学、大学院において翻訳及び翻訳技術についての研究がさらに進むように、翻訳研究に対する支援プログラムを新設する予定です。これは、勿論大学ばかりでなく、企業の研究開発活動も含め、産学協同で行われることが望ましいのは言うまでもありません。

 翻訳産業界であれ、翻訳を必要とする企業であれ、翻訳者であれ、翻訳に携わるものは、世界の状況を考えるとき、地球市民として世界の文化交流、情報の伝達、多様なビジネス交流をサポートする役割を果たしているという視点をもつことが必要です。
 翻訳者としての高い志を持ち、2千年以上に亘る「翻訳立国」日本の歴史に学び、これまでのビジネスパラダイムを変換して、「世界に羽ばたく翻訳専門職」として活躍される方々を一人でも多く、世に送り出したいと考えております。
 これまでのように、海外情報を輸入して、加工した製造物を輸出するばかりでなく、翻訳技術という日本の根幹技術も世界に向けて発信していくことが必要です。その為には、インターネットの活用を根幹にすえるほかありません。翻訳産業界のみならず、世界のビジネスコミュニケーションに於いて、インターネットの利用は当然のこととして、ビジネスシステムに組み込まれています。
 インターネットとグローバリゼーションが巨大な翻訳マーケットを創出したのです。
この大きなマーケットでは、世界中から翻訳ビジネスに参加できます。
 世界の翻訳志望者が「JTA 公認翻訳専門職」として世界の言語、文化、ビジネスの交流に寄与され、地球上に、まさに'知の宝庫としてのグローバル・ナレッジ・ガーデン'が花開くことが待たれます。
 世界の翻訳技術やグローバルコミュニケーション技術の研究開発に興味を持っている方、インターネット試験についての研究の御協力をいただける方、翻訳専門職の資格を得て、公認翻訳専門職として活躍したい方、世界の翻訳品質の向上に貢献したい方など、協会活動にご協力ご支援をいただければ幸いです。皆様のご支援を得て、各分野の翻訳プロフェッショナルを誕生させ、今、まさに変化する時代の発展に寄与したいと考えます。

 

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