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「JTA公認 翻訳プロジェクト・マネージャー資格基礎試験」体験記

2015年7月11日実施 第13回 JTA公認 翻訳プロジェクトマネージャー資格基礎試験
1級合格者
株式会社コングレ・グローバルコミュニケーションズ
翻訳部コーディネータ
西村 大河さん

そもそも、この資格を受験しようと思ったきっかけはISO17100でした。
現在、ISO17100の規格に沿って、翻訳プロセスの標準化や新規に翻訳者さんを採用する際の評価基準等の社内体制や
仕組みを見直しているのですが、社内のどのプロジェクトマネージャーが対応しても同じプロセスで進行できるように、また考えられるリスクを事前に回避できるように、より確かな仕組みを構築したいと考えていました。

その中で「翻訳プロジェクトマネージャー資格」という資格があることを知り、受験することにしたのですが、今回の
試験は「プロジェクトマネージャーとは?」という概念から見直すいい機会になりました。

翻訳プロジェクトマネージャーの人口自体が多くないこともあってか、試験に関する具体的な情報が少なく、参考書や
過去の問題集などもないため、受験準備としてISO17100の規格やIT系のプロジェクトマネージャーの参考書を読んで試験当日に臨みました。

試験はネット上で行われました。今回、私はオフィスにて受験したのですが、試験の10分前ぐらいにメールで送信されてきたPDF形式の問題文をあらかじめプリントアウトしておき、Web上のフォームに解答したのでスムーズにできました。
プリンターのない環境ではもしかしたら120分の制限時間内にすべて解答しきれなかったかもしれません。

試験結果が届き、5段階評価で、1~2級(正答率70%以上)が合格となるようです。
私は今回「1級」で合格でした。

振り返ってみると、試験の解答として列記されている選択肢には、どれも普段の業務上発生しそうな状況がずらりと並んでいました。中には「そんなこと当たり前」「そんなことありえない」というような選択肢もありましたが、当たり前のことであっても適切に処理できる仕組みを作ることが重要で、この試験を通じて、翻訳プロジェクトマネージメントが
属人的な作業にならないことが重要であるということを戒められているような気がしました。

翻訳プロジェクトマネージャーの業務に限らず、その仕事が自分を経ることによってどれだけの付加価値を創造できるかが、質の高い仕事をするということだと思います。
翻訳であれば、ただ単に翻訳者に仕事を横流しするのではなく、クライアントの要求を満たすような成果物を作り上げるための設計図を描き、その上でスケジュール、品質、コストの管理を行わなければなりません。
それには社内の誰が担当しても同等のレベルに仕上げられるしくみが必要です。
今回出題された問題文の中には、その基準を設けるためのヒントがたくさんありました。

今回の受験で得た知識を活かして、社内の仕組み作りに役立てたいと考えています。